電子顕微鏡


 臓器や細胞の形や内部構造を研究する(形態学)において通常の顕微鏡では光の波長の関係で分解能(2点を2点として識別出来る最小距離)に限界があり、倍率にすると約1000倍程度が最高倍率になります。細胞内の微細な構造や菌、ウイルスなど、これ以上の倍率で見る必要がある場合は(菌や細胞内の核など比較的大きなものは普通の顕微鏡でも見る事は出来ますが)電子顕微鏡を使用します。光でなく単一波長の電子を使用している為、基本的に白黒画像です。科学雑誌等でよく掲載されるカラー写真は後で着色したものです。電子顕微鏡には大きく分けて透過型電子顕微鏡(透過電顕)と走査型電子顕微鏡(走査電顕)の2種類があります。

透過電顕 = 試料をウルトラミクロトームという機械で0.07μm程度(1μm= 1/1000mm)に薄くスライスし内部構造を観察します。例えるとテレビのブラウン管の中に切片を入れて影絵を見るようなものです。(走査はしませんが)
走査電顕 = 試料上を細く絞った電子線で走査します。電子線に当たった所から二次電子という物が出てきます。この二次電子の強弱を検出しブラウン管上に像を構築します。主に試料の表面観察に使われます。電子虫メガネみたいなものです。

透過型電子顕微鏡 走査型電子顕微鏡



走査型電子顕微鏡で撮影したヒトの赤血球です。1.0Uと書いてある上の横線は1μmのバーで、試料のおおまかなサイズを知る事が出来ます。赤血球は真ん中にくぼみのある円盤状で写真の赤血球は斜めに立っています。(試料は比較のために研究者から採血した正常赤血球で患者様の物ではありません)




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